口腔がん

口腔がんとは?

口腔がんは舌・口底・歯茎にできる、”口の中のがん”です。
芸能人が口腔がんに罹患したというニュースで知られるようになってきましたが、国立がん研究センターによると、日本での罹患数は年間約2万人を超えています。その中でも特に舌の罹患数は多いという結果も出ています。

口腔がんは歯科領域です。
歯科医院で早期に発見することができれば最小限で済むはずが、見過ごされて大規模な手術を余儀なくされる方もいらっしゃいます。

当院ではそういった患者様の助けになるよう、口腔がんの早期発見に努めています。

口腔がんに対する当院の考え

今日、口腔癌の治療成績は飛躍的に向上してきていますが、がんの発見時の進行具合によって予後が左右されるのは変わりません。

当医院においても、4年に一度ほどガンの発見されることがあり、すべての患者さんにおいてご本人も気づかれていません。また、癌ではないかとご心配される患者さんも多数いらっしゃるので、簡単にですが、紹介していくこととしました。

口腔内に発生するがんの90%は扁平上皮癌とよばれる上皮のがんです。
治療法として、切除療法、放射線治療、化学療法があり、がんの進行具合によって選択されます。

早期発見するためには、今現在、定期的なメインテナンスで通われている方もいらっしゃると思われます。引き続きメインテナンスに通われて、口腔内の変化をチェックしてもらうこと。

また、気になるようであれば、気兼ねなく通われている歯科医院の衛生士ないし、歯科医師に聞いていただければ良いと思います。 口腔癌とその他の疾患は、比較的容易に判断できます。(判断が難しいものもあります)

疫学から見た口腔がん

国内における口腔癌の罹患率は、2005年において約6,900人であり、全癌の約1%を占めると推定されている。

Japan Society for Head and Neck Cancer Registry Committee. Report of head and neck cancer registry of Japan. Clinical statistics of registered patients, 2002. Jpn J Head and Neck Cancer 2006 ; 32 (suppl) : 15-34

国内における口腔癌の部位別発生割合は、舌60%、頬粘膜9.3%、口腔底9.7%、上顎歯肉6.0%、下顎歯肉11.7%、硬口蓋3.1%と報告されている。

口腔癌 診療ガイドライン Clinical practice Guidelines for Oral Cancer 2019  金原出版株式会社 2019 ; 15

口腔癌の主な危険因子としては、喫煙と飲酒があげられているが、発癌には複数の発癌因子が作用して、多段階的に癌に移行すると考えられ、口腔癌も外科的慢性刺激により遺伝子異常が生じ、これらが蓄積して初めて生じるものと考えられている。

Suzuki T, Wakai K, et al. Effect of dietary antioxidants and risk of oral, pharyngeal and laryngeal in veterans. Oral Surg Oral Med Oral Patrol Oral Radiol Endod. 2006 ; 102 : 625-31

悪性疾患の治療の流れ

当医院にて多くの粘膜疾患と癌を振り分ける為、細胞診をおこないます。
明らかな癌に関しては速やかに専門病院に報告します。

・細胞診
・画像診断
(MRI・CT・PET)
・生検検体

放射線治療
科学治療

切除
(舌切除・下顎切除・上顎切除・頸部郭清術)

放射線治療
科学治療

細胞診とは

・癌の可能性がある怪しい病変に対して行います。

・低侵襲で行うことができます。(病変の表面をブラシで擦るのみ)
癌細胞に侵襲を与えることで範囲・症状の増悪を引き起こします。

・あくまで表面の細胞のみの検査であり、深部組織の状態確認はできません。
見た目、症状の変化で追加の検査が必要です。(生体検査など)

結果の表記

  • Class :正常細胞
  • Class :異常細胞を一部あるが、良性
  • Class :異常細胞を多数認め、悪性を否定できない
  • Class:悪性を強く疑う
  • Class :癌細胞を認める

画像診断

MRI 原発巣の進展範囲を客観的に評価するためにおこないます。
CT 腫瘍に造影を行うことによって、範囲が明瞭化するためにおこないます。
PET 癌細胞がブドウ糖を多く含む特性を利用。薬剤を投与、癌細胞の有無を評価します。

生検検体

生検検体 癌の確定診断だけでなく、腫瘍の組織型など予後にかかわる重要な情報が得られます。

生検検体

生検検体

生検検体

生検検体

生検検体

生検検体

切除

舌癌の切除方法

舌部分切除術 舌可動部の一部の切除、あるいは半側に満たない切除
舌可動部半側切除術 舌可動部のみの半側切除、すなわち舌中隔までの切除
舌可動部(亜)全摘出 舌可動部の半側を超えた切除(亜全摘)あるいは全部の切除
舌半側切除術 舌根部を含めた半側切除
舌(亜)全摘出 舌根部を含めた半側以上の切除(亜全摘)あるいは全部の切除

切除

切除

切除

上顎歯肉癌の切除方法

歯肉切除術 歯槽粘膜・骨膜のみの切除で骨の切除を伴わない
上顎部分切除術 上顎歯肉部、上顎洞内の一部、上顎成虫側、固有鼻腔の一部など、上顎骨の一部を切除
上顎亜種全摘術 眼窩底のみを温存し、上顎骨を切除
上顎全摘術 上顎骨のすべてをその周囲組織を含めて切除
拡大上顎全摘術 上顎骨とともに、眼窩内容や頭蓋底を切除

下顎歯肉癌の切除方法

歯肉切除術 歯槽粘膜・骨膜のみの切除で骨切除を行わない
下顎辺縁切除術 下顎骨の辺縁(通常下顎骨下縁)を保存し、下顎骨体を離断しない部分切除
下顎区域切除術 下顎骨の一部を歯槽部から下縁まで連続的に切除し、下顎体が部分的に欠損する切除
下顎亜全摘術 下顎骨の半側を超える切除で、通常、下顎枝から対側下顎枝の範囲以上の切除。これに関節突起が温存されたか否かを追記する
下顎全摘術 両側の関節突起を含めて下顎骨を摘出する切除

切除:頸部郭清術

頸部郭清術とは、口腔がんの頸部リンパ節への転移を防ぐ目的の手術です。

術後の機能障害を少しでも少なくするため、血管・神経・筋肉をなるべく残すための低侵襲な手術術式です。

頸部郭清術

レベル分類について

頸部リンパ節はその部位によって、LevelⅠ〜Ⅵに分類されます。一般的に口腔がんの領域はLevelⅠ〜Ⅴとされています。

  • Class :オトガイ下リンパ節(Level IA)、顎下リンパ節(Level IB)
  • Class :場内頚静脈/上顎深頚リンパ節
    (Level ⅡA:副神経より前方、Level ⅡB:副神経より頭側)
  • Class :中内頚静脈 / 中内深頚リンパ節
  • Class:下内頚静脈 / 下内深頚リンパ節
  • Class :副神経リンパ節(Level ⅤA)、頚横リンパ節、鎖骨上窩リンパ節(Level ⅤB)
  • Class :前頸部リンパ節

化学、放射線治療

放射線療法

根治照射 放射線療法単独で根治を図るもの
術前照射 術前に腫瘍の縮小、不活化を図り、切除の安全性を高めるために行うもの
術後照射 術後の再発予防のために行うもの

放射線療法

術前の腫瘍の縮小のため、放射線療法の成績を高めるため、遠隔転移を妨げるために投薬されます。

当院では検査からでも承っております。

口腔がんについて調べてこのページに辿り着いた方が多いかと思います。

心配になられたまま過ごすのは辛いと思いますので、検査にいらしてください。歯科医師が検査を行い、その結果を患者様にご説明致します。

検査をご希望の場合は、ご予約時に口腔がんの検査をしたいとお伝えください。