歯周治療の流れ
当院は診査診断・初期治療を重要視しています。
歯周治療の流れをご説明する前に、当院が大切にしていることをお伝えします。何を大切にしているか?というと「診査診断及び初期治療」です。歯周治療の流れをご説明する前に当院のスタンスをご紹介致します。
初診の方をすぐに治療することはない
痛みがあるなど応急処置が必要な場合を除き、当院では初診の方をすぐに治療することはありません。理由としては、診査(検査)診断を重要視しているからです。
例えばあなたが風邪をひいたとしましょう。咳がある・熱がある・寒気がするなど何らかの症状を感じて病院へ行きます。その時、問診・聴診・視診などを繰り返し、それが本当に風邪なのか。肺炎や他の病気が考えられないかという検討がされて初めてお薬の処方をされます。
それは歯科にも当てはまります。どのような状態であるかを把握しないで治療を行えば、取り返しのつかないことになることもあります。例えば抜歯する必要のない歯を抜歯されてしまったり、神経が残せるのに抜髄されてしまったり・・・と、少し想像していただければご理解いただけると思います。
だからこそ、初診の方をすぐに治療するのではなく、今のお口の状態を正確に把握し、患者様と相互理解をしながら治療に進むことが重要です。
初期治療(歯周基本治療)に全力を注ぐ
初期治療(歯周基本治療)は炎症の無い歯肉を得るためにとても重要です。
これは歯周治療だけでなく、型取りや詰め物被せ物をするときに、歯肉から血液が出ずに適合性の高い技工物を作成できることにも繋がります。
もちろん、インプラント・義歯・矯正治療をする際にもこの初期治療は重要で、治療に関するリスクヘッジにも役立ちます。
初期治療(歯周基本治療)では、
- スケーリング:歯の周囲の歯石を除去する
- プラークコントロール:思考の除去及び口腔管理
- 歯周ポケットの走掻爬:歯周ポケット内壁の感染した組織を取り除く
- SRP:歯肉縁下(歯肉内)の歯石の除去、歯根面の潤沢化
- 暫間修復:歯のない部分の仮修復、同様の強い歯を固定させ咬合に参加させる
- 咬合調整:過度な負担がかからないようバランスの良い噛み合わせを作る
- 抜歯:他の歯へのリスクの除去、歯が支えられないほど骨が溶かされている場合
- 不適合な詰め物・被せ物の修正、やり替え
このようなことを初期治療(歯周基本治療)では行います。
つまり、歯周病を発症させる因子及びリスクファクターを除去し、再治療にならない環境を作ることが初期治療(歯周基本治療)の最大の目的になります。
歯周基本治療では歯科医師と歯科衛生士の二人三脚での治療が求められます。
歯周病には歯科衛生士がとても重要であるということは言うまでもありません。
歯周治療の基本的な流れ
初期治療の流れ
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STEP1検査口腔内全体を検査します。 ・カリオ検査 ・唾液検査 ・歯周検査 ・PCR検査(歯周病菌の中でも最も影響があるP.g菌の検査) ・レントゲン写真、口腔内写真の撮影
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STEP2コンサルティング検査結果のご共有と検査結果に基づいた治療計画のご説明を致します。
ご自身のご状況を十分にご理解いただき、治療計画の同意をいただきます。
ご質問に対するお時間も確保しておりますので、疑問点などありましたらご相談ください。 -
STEP3スケーリング・PMTC・プラークコントロール歯科衛生士によるスケーリング及びPMTCを行います。また、セルフケアを正しく行っていただくためにブラッシング指導も行います。 主に歯肉縁上のバイオフィルム(プラーク)や歯石を除去し、ご自宅でもバイオフィルム(プラーク)に侵されてしまわないような 口腔環境を維持するために、正しいブラッシングや食生活の改善を行っていただきます。
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STEP4歯周検査②:再検査(経過)症状の改善(炎症度合い、歯周ポケットの深さ)が認められるか否かを確認する目的で再検査を行います。 歯周ポケットが3mm程度になっていることが認められれば、他に必要な治療及びSPT(歯周病安定期治療及びメンテナンス)に移行します。改善が見られない場合には、SRP(スケーリング・ルートプレーニング)を行います。
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STEP5SRP(スケーリング・ルートプレーニング)歯肉縁上・歯肉縁下のバイオフィルム(プラーク)及び歯石を除去します。 歯石の除去及び根面の汚染されたセメント質を除去し、根面を潤沢化させることで、バイオフィルム(プラーク)が付着しにくい状態を目指します。
※状態によって、回数が異なります。(2回〜6回程度)
再検査から歯周外科治療までの流れ
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STEP6歯周検査③:再検査(評価)SRPが完了した時点で3回目の歯周検査を行います。(レントゲン・口腔内写真及びPCR検査による細菌検査)
炎症度合い、歯周ポケットの深さに改善が見られているかを検査し、改善されていれば必要な治療及びSPT(歯周病安定期治療及びメンテナンス)に移行します。
骨吸収によって5mm以上の歯周ポケットが残っている場合は、外科的なアプローチが必要になる可能性もあるため、患者様と今後の治療計画(歯周外科治療もしくはSPT・メンテナンスで現状維持していくかの選択)をお話します。保存不可能な歯がある場合、抜歯のお話もいたします。 -
STEP7歯周外科治療歯肉を切開しフラップを形成した上で、器具の到達性を高めます。
その上で解剖学的・生理学的に良好な状態を構築することを目的として歯周外科治療を行います。
歯周外科で原因を除去したとしても歯周組織は再生しないので、必要に応じて歯周組織再生療法を行い、歯周組織の再生を図っていきます。 -
STEP8歯周検査④:再検査(評価)歯周外科治療を行った後に、4回目の再検査を行います。
このとき、炎症度合いもしくは病状の進行が停止しているなど改善していれば必要な治療及びSPT(歯周病安定期治療及びメンテナンス)に移行します。
歯周外科治療を行った結果、歯周ポケット・歯の動揺などが存在するが歯周病の進行が見られない場合は、その理由を患者様にご説明した上でSPT・メンテナンスに移行し現状維持をしていきます。
治療後の流れ
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STEP9SPT(歯周病安定期治療)及びメンテナンスSPTは、再発リスクが高い部位が存在する場合に、PMTC・SRP・咬合調整などの包括的治療を通じて歯周組織の安定を図るという目的があります。
それと同時に歯科衛生士がプロフェッショナルケアによるメンテンナンスで、口腔内の健康を維持していき、歯周病の再発防止に努めます。定期的にメンテナンスを行うことで、未然にリスクを防ぎ良好な状態を維持していきます。 -
STEP10必要な治療を進める歯周組織の安定が図れると「治癒」という判断になります。
歯周病以外に必要な治療(虫歯治療・根管治療・矯正治療など)を行います。