歯根端切除術について
歯根端切除術とは?
根尖病変を外科的に除去し、治癒に導く
根管治療(非外科的)では改善しない、非外科的治療では除去できない感染部分がある場合に、外科的治療によって感染部分を取り除く治療が歯根端切除術です。
歯茎を切開し根尖にアプローチするため、抜歯の必要はなく症状を改善することができます。
歯根端切除術はマイクロスコープの使用し、拡大下で治療を行いますので、肉眼で行う治療よりも高い成功率であることが証明されています。マイクロスコープの重要性は根管治療成功のポイントをご覧ください。
症例で見る歯根端切除術の流れ
診査時
診査時のCT及びレントゲン写真です。
黄色い丸で囲んでいる部分が根尖病変です。CTの画像を見ていただくと、大きな病巣があることが確認できます。
歯肉を切開し、根尖にアプローチ
麻酔が浸透したあと、歯肉を弧状切開し根尖へアプローチする場所を作ります。
病巣部分を掻爬した後、歯根端を切除
病巣部分を掻爬し、その後歯根端を切除します。
※掻爬=汚れや感染部を掻き出すこと
MTAセメントを充填した後に、縫合
切断端側より、MTAセメントを充填し、緊密に詰められていることを確認した後、切開した歯肉を縫合していきます。術後はお痛みが出る場合もありますが、1週間程度で治まっていきます。
歯根端切除術の症例
右上第一大臼歯違和感により、痛みと違和感主訴に来院
外科的歯内療法予定であるが、まずは感染根管治療をおこない、経過を観察した。
近心頬側根に未根管治療の根管と2つの根管を発見
根管治療をおこない3ヶ月経過したがレントゲンにおいて変化が乏しいので、外科的歯内療法に移行した
外科的歯内療法の実施
2019/11/15のCT
2020/2/25のCT
軟組織の変化
2020/03/17:術後1ヶ月
2020/04/20:術後2ヶ月
2020/05/22:術後3ヶ月
※○で囲んでいる部分は外科的歯内療法の軟組織の変化を示している
外科的歯内療法の経過
2020/05/22
治療後の経過の経過
2020/11/19
治療終了、半年経過したが現在も問題なく経過している
最後に
マイクロスコープ下で行う歯根端切除術は誰にでもできることではなく、マイクロスコープを正しく使い、治療技術を積まないと難しい治療だということを知っていただきたいと思いっます。
また、解剖学的理由によって根管治療ができない場合があります。 その場合は、意図的再植術という治療法を用います。